BLOG
 
2006.6.8

カテゴリー: 建築見学ツアー

伊東豊雄氏設計の仙台メディアテークを見に行ってきました。

先週末、仙台に伊東豊雄氏設計の仙台メディアテークを見に行ってきました。

1_36

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2000年の夏に完成しましたこの建物は、新市民ギャラリー・青葉区図書館・映像メディアセンター・視聴覚障害者のための情報提供施設の機能を併せ持つ芸術文化施設です。

13本の鉄骨独立シャフトと7枚の鉄骨フラットスラブで構成されており、各階異なる平面計画となっています。

建築設計の世界では国の内外問わず大変話題となった建築です。

雑誌や建築専門誌で写真は何度も拝見していましたが、ようやく実物を見学することができました。

当日は天気もよく、朝9時ごろ訪れたのですが、1階のイベント広場で、催し物の準備がされていました。

 

2_28

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早速1階から見学しようとカメラを向けたところで、受付のきれいなお姉さんから呼び止められ、2階で撮影許可をもらって下さいと、言われてしまいました。

 

3_19

 

 

 

 

 

2階の受付カウンターへ行き、許可バッチを借りて、再度1階へ。

写真でもわかりますように、なんといってもこの建物の一番の特徴は柱にあります。くねくねと曲がった丸柱で構成された独立シャフトが不均等に配置され、ニョキニョキと立ち上がっています。まさかそれだけでこの建物が建っているとは一般の人は考えないかもしれません。2階、3階へと足を進めると、だんだんシャフトの大きさも小さくなり、その存在はもっとなくなる感じでした。

4_14

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイン道路側の外壁面は全てガラスで構成されており、一見わかりづらいのですが、2重ガラス(ダブルスキン)になっています。この2枚のガラスの間の空気を開閉機構で開け閉めすることにより、空調コストを軽減しているそうです。

 

5_6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3階・4階は図書館となっており、半分以上の面積が2層分の吹き抜けとなっているため、この建物を構成している独立シャフトの感じが良くわかりました。

 

 

6_7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに、建築設計を専門としている私から見ても、柱という概念を超えているような気がします。

柱は真っ直ぐでなければならないという決まりはどこにもなく、伊東氏の発想がそのまま建築になった建物です。

次にこの建物のすごいところは、各階のスラブがとにかく薄いことです。

 

7_6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

独立シャフトの1本の中が非常階段となっているため入ってみたところ、その薄さを目の当りにしました。 ハニカムスラブ:鋼鈑サンドイッチ構造と言うらしいですが、どのように造られているのかを説明するとあまりにマニアックになってしまいますので、後ほど紹介します本を購入して読んでみて下さい。

余談として、朝からたくさんの市民の方が訪れており、とってもうまく機能している公共建物だという感想を持ちました。市民の皆さんからすれば、柱がどうであれ、スラブが薄かろうと大した問題ではないのかもしれません。しかしこのプロジェクトは伊東氏が設計者として選ばれてから、何度も市民参加の話し合いを行い、内部のプログラムの一つ一つを市民と一体となって創りあげた建物です。その結果が、このように多くの市民に親しまれているのだと思います。建築家とは決してデザインだけをやっているのではないのです。特に公共の建築物は色々と苦労が多いと聞きます。伊東氏の情熱と粘り強い市民との交流が、このようなすばらしい建物を創ったのだと思いました。

最後に、この建物に関するいくつかの書籍を御紹介します。興味のある方は是非読んでみて下さい。

 

UNDER CONSTRUCTION―「せんだいメディアテーク」写真集 Book UNDER CONSTRUCTION―「せんだいメディアテーク」写真集著者:畠山 直哉,伊東 豊雄
販売元:建築資料研究社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

せんだいメディアテーク コンセプトブック Book せんだいメディアテーク コンセプトブック販売元:NTT出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する
建築:非線型の出来事―smtからユーロへ Book 建築:非線型の出来事―smtからユーロへ著者:伊東豊雄建築設計事務所
販売元:彰国社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

カテゴリー: 建築見学ツアー