この美術館は、2002年に国際コンペにより設計者が選定された、当時設計業界では大変話題になった建物です。
私もこの当時お世話になっていた設計事務所でコンペに応募した記憶があります。
いつか行きたいなと思っていましたが、ようやく昨日行ってきました。
東村立 富弘美術館 設計/aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所
2006日本建築学会賞
写真をクリックすると大きくなります。
この建物は、薄い鉄板で作られた大小の丸い部屋がいくつも重なり合って出来ています。
部屋は、展示室であったり、エントランスホールであったり、休憩室であったりと、それぞれ別の用途になっています。
この案が一等になったとき正直、あまり面白みがない・・・作者の富弘氏の作品とまったく関連性がない・・・・すばらしい周辺風景の中になぜ丸???と
あまりいいイメージがありませんでした。
今回は、写真ではなく実際の建物を見学し、どう感じるか楽しみでした。
内部は撮影NGなので、もらってきたパンフレットを参照してください。
丸の重なりで構成された平面計画が少しはわかりますでしょうか?
一番下に掲載した美術館のHPの中の館内施設案内でも、全体の平面構成がわかると思います。
実際、一歩中に入ると、どの部屋も当たり前ですが丸い壁。
しかし、展示空間に関していえば、丸い局面の壁面に飾られた富弘氏の作品をぐるっと一周しながら見ていくというのは全然抵抗感なく感じられ、大きさが違う丸い部屋の連続性が、かえって展示もしやすいのではと好印象でした。
この感覚は想像もしていませんでした。
また、丸い部屋の連続なので、隙間ゾーンが必然的に出来るのですがそこは外部になっていて、富弘氏の作品のモチーフになっている小さな花々が綺麗に植えられており、小さな丸窓(徹底的に丸にこだわっている)から覗くことが出来るようになっていました。
外観は、丸の重なり合いとは関係なくスパッと四角に切り取られています。
なので・・・冒頭の写真でもわかるとおり、一般の人から見る外観は単なる四角い箱の美術館に見えます。下の写真は、向かいの山に登って撮りました。
内部に関しては想像以上によい空間となっていましたが、やはり外観の真四角なデザインは少し単調に感じられました。
また丸単位で外装の素材を変えているのですが、なかなかそれでは丸の重なり合いという平面構成を理解できず、もう少し違った方法があったかな~と感じました。
建物を見学し終わった観想としては、今まで雑誌で見て感じていたイメージより
はるかによかったです。
建築の話はこれくらいとして、富弘氏の作品・・・・
どれもすばらしいですね。
いつの間にか建物見学のことを忘れ、じっくり展示作品に見入ってしました。
ちょっと遠く不便なところにありますが、皆さんも是非一度行ってみて下さい。
建築に興味がない人でも富弘氏の作品を見るだけで、とても感動すると思います。
↓の写真は美術館周辺の庭園の様子。
たくさんの樹木や花々が綺麗に手入れされていました。
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