金沢にある、21世紀美術館を観に行ってきました。
設計は妹島和世+西沢立衛/SANAA
2004年に完成したのですが、ようやく見学することができました。
実は今年の3月・・・まさにあの震災のあった次の日から、この美術館を
見学に行く予定だったのですが当然のことながら新幹線はストップし、
予定はすべてキャンセル。
今回、連休を利用してリベンジということで行ってきました。
この美術館は、兼六園のすぐ横に位置し、金沢大学付属小中学校の
跡地に建てられました。
写真では少しわかりずらいですが直径113mの円の中に
展示ルームとなっている大小いくつかのBOXと円形の部屋がばらばらに
配置されて構成されています。
外周面はすべて高透過ガラスとなっており、内部の様子はどこからでも
見渡せます。
円形を利用して、さまざまな方向に入口が設けられている為、
美術館のどの方向から来ても入れるような設計。
建物内の多くのスペースをフリーゾーンとして無料で開放しており、
無料ゾーンからもいくつかの常設展示された作品が楽しめ、
有料展示を見ない人でも気楽に建物内部に入って、散策できる仕組み
になっています。
天井はアルミ板。天井が反射して様々な表情を映しこむことを
意図しています。
考えられないような細い柱。
基本的に展示ルームのBOXの壁と屋根面で剛性を確保することにより
このような細い柱で構造的に成立させています。
外周面が全面ガラスということで、空調対策はどうだろうかと気になっていました。
空調は床下から外周面のガラスに沿ってスリットが設けられており、
手で触ってみたところ、かなりの風量の風が出ていました。
今回は冬ではないので暖房機能が十分かどうかはわかりませんが
訪れた日はかなりの夏日。しかしさほど館内が暑いという印象は
ありませんでした。
↓フリーゾーンの通路風景
↓円形壁の屋根の上に作品があります。『雲を図る男』1999/Jan Fabre
↓これも作品です。『ブルー・プラネットスカイ』2004/James Turell
↓外観
↓地下駐車場からのサブエントランス
油圧式のエレベーターで1階レベルまで上がります。
今回、約2時間程かけて有料展示空間も含めゆっくり建築見学をしました。
美術館の周りは公園のような設計となっており、芝の手入れも完璧。
建築という意味だけではなく、美術館そのものの企画運営面での成功で
相当な入場者数を記録しているそうです。
見学後の感想としては、凄くいい建築だと思いました。
フリーゾーンがイメージしていたより広く確保しているので、全体的に
ゆったりとした空間構成になっているということ。
通路やフリーゾーンの天井高さを統一させているのですが、高すぎず
低すぎず、非常にバランスのいい空間になっていること。
それでいて展示ルームは様々な天井高さになっているので
ルーム毎に変化にとんだ空間となっていること。
ところどころにある、信じられないほどの細い柱が、実は構造柱であり、
その存在を見事に消しながら構造的に成立していること。
外周面の曲面ガラスが、内でもなく外でもない空間の連続性を
見事に作っていること。
そんなことを感じた今回の建築見学ツアーでした。
少し面白いサイトを見つけましたので、興味がある方は
クリックしてみて下さい。この美術館ができるまでを動画見られます。
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