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旧井上房一郎邸
群馬県にある高崎駅から歩いて10分ほどの場所に、旧井上房一郎邸があります。
旧井上房一郎邸は、前回、ブログで紹介した群馬音楽センターと深い関わりのある建物なのです。
井上房一郎とは、群馬県立近代美術館の設立や、群馬音楽センターの建設など、群馬の文化活動に大きく貢献した方です。
また、群馬音楽センターの設計者であるアントニン・レーモンドとの交流もありました。
そして、レーモンドが東京の麻布に建てた事務所兼自邸に井上氏は強く感銘を受けます。
そこから、井上氏はレーモンドの快諾を受け、その自邸の図面を提供してもらい、図面を実測し、井上邸の設計・建築をしたそうです。
なので、旧井上房一郎邸はレーモンド・スタイルがよく表れている建築です。
庭には緑がたくさんあります。
深い庇の下を通り、一部ガラス屋根になっているところが、玄関口です。
ここは半屋外空間になっており風通しもよく、お客さんをもてなしたり、食事も楽しめそうな場所です。
そして家の中に入り、廊下を渡り奥へ進むと居間になります。
↑このような丸太を使用した構造もレーモンド・スタイルのひとつです。
↑敷地全体の模型と井上房一郎氏の写真
↓和室部分
基本的にどの部屋も薄暗いのですが、それにより、開口から入ってくる光だったり、外の緑が映えて美しいです。
この旧井上房一郎邸も以前には取り壊しの危機があったそうなのですが、地元住民の寄付などで危機は回避し、現在では高崎市景観重視建築物に指定され、高崎市美術館が管理・運営を行っています。
旧井上房一郎邸と群馬音楽センター、一見、何の関わりも無さそうなこの2つはレーモンド・スタイルが表れた建築物でした。
担当:小林
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