第1回埼玉建築文化賞 共同住宅部門 最優秀賞
敷地環境
敷地は、最寄り駅から徒歩10分ほどの旧川越街道に面する閑静な住宅地。
周辺は駅前を中心とした大型開発が進み、都心通勤者を対象とした高層分譲マンションが続々と建ち続けている地域である。
施主からの要望
ハウスメーカーや大手建設会社がつくる画一的なデザインの建物では、これからは入居率を維持することは難しいとの考えから、外観デザインやプランニングで他のアパートメントと差別化を図りたいということでした。
設計コンセプト
最寄り駅から計画地までの距離と地域性を考慮し、ワンルームタイプの一人暮らしではなく若夫婦もしくは+子供一人程度を想定したファミリーを対象とした。
また、あらゆる入居希望者のニーズに対応する為、タイプごとにテーマを決めて、間取りや仕上げ材を全て変えることを提案。
例として、床、壁、天井を全てホワイト一色で仕上げた「白の部屋」や「吹き抜けのある部屋」、壁をシナ合板貼りとした「ナチュラルの部屋」、床材や建具、キッチンを黒で統一した「黒の部屋」、などである。
賃貸戸数は全9住戸。そのうち3住戸はメゾネットタイプとし、その他はフラットタイプとなっている。
フラットタイプにおいて2階に位置するタイプ(D2,E2,F2タイプ)は、1階から独立した内部階段で2階に上がる形状とし、通常よく見られる共用廊下や屋外階段を設けない、すっきりとしたデザインとしている。
外観は居室が入る大きなBOXと、水周りを納めた小さなBOXを交互に配置することで、リズミカルな軽快さを表現した。
外壁は、アクリル系の樹脂塗り材で暖かさを表現しつつ、部分的にガルバリウム鋼板のスパンドレル貼りとすることで、都市的なシャープさを醸し出すことを意図している。
川越という地域性による伝統的な街並み景観に同化を図るのではなく、新たな都市景観の創造に先導的な役割を果たし、街に活力や潤いを感じさせる空間を創出することを目指した建築である。
場所:埼玉県川越市
構造:木造
用途:共同住宅
竣工:2011年
施工:株式会社大槻工務店→ここをクリック
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竣工写真 撮影/北嶋俊治