昨年6月20日施行の建築確認・検査を厳密化を柱とした
建築基準法等の一部改正により、全国で混乱が生じている。
最近になり、新聞やニュースでこのことによる着工戸数の減少などが
取り上げられることも多くなった為、多少は耳にしたことがあると思いますが、
正直、大変なことになっています。
混乱が生じた主な原因は、
1 確認申請図面に明記すべき事項及び添付書類が莫大に増え、
かつ、その内容説明が十分に行われないまま施行されてしまったこと。
また、軽微な不備以外の図面訂正ができなくなったこと。
(今までは訂正印により訂正が認められていた。)
2 ある一定規模、構造の建物は、第3者機関(適合判定機関)による
構造計算のチェックが義務付けられ、それに伴う審査期間の延長と、
その審査基準に曖昧な表現が多く、国土交通省の見解も遅れたこと。
3 上記内容を含め、審査側の受け入れ人数不足及び改正内容の
具体的解説がなかったことによる現場の混乱。
といったことが挙げられます。
岩瀬アトリエにおいても、法改正後に鉄骨造の倉庫+事務所という建物の
確認申請を提出しました。
改正後、上記1、2、3における混乱が予想されていた為、多くの検査機関は
事前審査という名目で、確認申請の正式提出前に事前に申請内容について
確認同様にチェックをし、訂正すべき事項や不足している書類等を提出した段階で
正式に本申請受理といった対応を行いました。(これを行う大きな要因は今回の改正で訂正ができなくなったということです。)
ちなみに、今回のケースでは昨年9月20日に事前申請を提出し、
本申請受理となったのは12月28日でした。
すなわち、事前審査だけで3ヶ月!
それからさらに約2ヶ月がたち、昨日要約確認済証の発行となりました。
かれこれ5ヶ月。
今までであれば、通常1ヶ月で許可が降りていた内容です。
このような状況では当然、着工個数が減少するのもわかります。
設計事務所としての確認申請に伴う業務内容も莫大に増え、
施行業者サイドにおいても、その間、まったく仕事が止まってしまいます。
姉歯事件をきっかけに、今回の法改正が行われたわけですが、
確かに申請自体を厳格化させることは良いことかも知れません。
ただし、その中身が問題で、正直、まったく意味がないと思われる
改正内容がほとんどと考えられます。
大幅な着工戸数の減少で、ようやくポロポロと国土交通省も
改正内容における緩和的な対策を発表しだしましたが、
そのほとんどが効果がなく、いまだ混乱は続いています。
このことは決して設計事務所や施行業者だけの問題ではありません。
住宅の場合、建物が完成した時点で、ローンの利率が決定しますし、
事業物件であれば、完成時期は非常に大きな意味を持ちます。
これほど、確認申請に時間がかかるというのは、どこかに問題が
あるはずです。
一体誰の為の、何の為の法改正なのか・・・・・・
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